人間は目に映る世界を、既にある過去の記憶から解釈して、意味をつける。
過去が前向きな記憶なら、今も前向きになる。
過去が辛くて苦しく、悲しい記憶ばかりなら、
今目に映る彩りのすべてが、僕を怯えさせる。
必死に僕は傷つけられないように身を守り、疑い、それでも愛を求めて、
また見失い、絶望し、また立ち上がる。
そんな繰り返しにうんざりし、また前を向く、そんな繰り返しをしてきた。
そして僕は、目に映る世界が決して自分を傷つけるものばかりではない、
と気づいて、少しずつ、心のピースを不安から愛と喜びに置き換えてきた。
簡単なところから、少しずつ。
そして気がつくと、大半のピースが、平和で穏やかになった。
僕の目に映る世界は、優しさと愛が染み渡っている安心感が広がった。
でも、どうしても、取り替えられない真っ黒なピースが残る。
こびりついた台所の油汚れのように、取れることなく、僕の心にくっついたままである。
またやってきた嵐に一瞬取り乱し、また自分を見失いそうになってよろめきながらも、
僕は初めて選択を変えた。
抵抗をやめ、自分ではなかなか変えられない、ついつい決めつけがちな自分の固定観念を吹き飛ばしてくれるのは、この外からくる嵐なのではないか?そう思い、足元を確かめ、そのエネルギーに身を委ねてみることにした。
僕は自分に問いかける。
今僕の目に映るあれこれは、本当に自分を傷つけ、喜びを奪おうとしているものなのか?と。
人を信じられない僕が意を決して身を委ねた瞬間に手のひらを返され、身体から力が抜け、しばらく記憶が飛んでしまったあの怒りと絶望が、忘れるな、世界はそんな場所だと警戒しなくちゃいけないと誓ったじゃないか…
そう、過去の僕が僕に向かって叫ぶけれど、いま、本当は何が起きているのか?
すべてを冷静に振り返って、出来事の意味を見切って、愛と喜びを選ぶのだと決めて進んできた僕自身の積み重ねを見る。
外側の世界の結果がどうなったとしても、愛と、そしてまたより良く、やさしく、喜びを求めて生きていこうと思う自分を見る。
最後に残る真っ黒なピースを取り去るまで、後もうひと息だ。
もう、大丈夫だ。